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九死に一生 / “Narrow Escape” IPA (#10.2)
志賀高原ビール Shigakogen Beer
以下は志賀高原ビール醸造責任者、栄吾さんのブログより
九死に一生 / “Narrow Escape” IPA (#10.2)
「なんじゃ、その名前は?」
すみません。
「四苦八苦」にしようかと思ったのですが、京都醸造みたいなんで、うち風にしました!?
其の十の仕込みでした。
ところが、朝から蒸気を調整するバルブに不具合が発生。一日中、いや、日付が変わるまで苦しんだのですが、結局完治せず。
ぼくらは、1000回以上の仕込みで、一度もビールを捨てたことがなかったのですが、このバッチだけはもしかしたらダメかもと覚悟しました。
なんとか、だましだまし煮沸までは持っていけたのですが、どうしてもパワー不足でいつもの煮沸強度に大幅に及びません。
ビールの仕込みの過程で、煮沸は、ホップの香りと苦味をつけると同時に、ビールに残ってはいけない不快な香りの元になる成分を飛ばすという大事な目的があります。
嫌な香りを残さないための応急処置として、蒸発量を計りながら、煮沸時間を普段の3倍以上と大幅に長くとりました。
同時に、ホップの投入のタイミングをふだんから大幅に変更。
仕込み中/直後は、相当心配したのですが、結果として、幸いにも嫌な香りもなく、むしろクリーンな仕上がりに!
ふぅ〜。
というわけで、「九死に一生」ってわけです。
もともとのレシピは、其の十と全く同じなのですが、長時間の煮沸により、色はいつもの其の十とは全然違う、薄めの琥珀色に。
さすがに、同じビールとして売るわけにはいかないので、思い切って最後のホップの仕上げを大幅に変更。
#10.2とあるのもそういうこと。
ようするに、一回限りの其の十の特別バージョンってところ。
酒米をつかって、7.5%、IBU75っていうスペックも全く一緒です。
色から想像するほどのボディはなく、ジューシーでかつドライ。
ホップもかなりガッツリ効いていて、これはこれでかなりいい仕上がりだと思ってます。
もう一回つくれといわれても、絶対にやりたくありません!?
というわけで、図らずも出来ちゃった限定IPA。
どうぞお試しを!